【看護学生必見】看護観って何なん?正体不明の概念を克服しよう!

知識

Twitter界隈でよく議論になる「看護観」

あなたの看護観は何ですか?なんて質問に

「看護観なんてもってないよ!」
「看護観がなくても仕事はできるし…」

なんてTweetもよく見かけます。

たぶんみんなが「看護観」って言葉を毛嫌いしているのは、その実態がよくわからないからでしょう。
正体のわからないものってやっぱり不安になりますよね。

実際に僕も学生の頃に例の質問をされて「看護観なんてないし、学生のうちからあるわけなくない?」とか考えていました。

そんな「看護観」ですが、とりあえず意味もわからず嫌うのもあれなんで、少し深堀してみましょう。

この記事では、看護観とは何か、なぜそれが重要なのか、どのように書けばよいのか、またいくつかの例を紹介します。

日本における看護観の定義

看護観ですが、わりと研究されているみたいで、まず日本の論文を漁ってみたところ、2019年に看護教育研究学会誌に「看護観についての概念分析」という論文がありました。わりと最近ですね。

こちらです。
http://www.nihonkango.jp/journal/11-1/11-1-2.pdf

これによると、この論文が発表されるまで、「看護観は、看護教育や看護実践の場で従来から使用されてきたが、いまだその定義は明確にされていない」ようでした。

これはかなり驚きですよね。しっかりと定義もされていないのに、「あなたの看護観は?」や「どんな看護観を持って働くの?」とか聞かれていたわけですから。

逆にあなたの言う看護観ってどんな定義ですか?って聞き返してやりたい…

統一した定義はないにしても、看護観の研究はまぁまぁされてきたようです。
しばしば使われている定義としては、

自分の考える看護とは何か、どんな看護をおこなっていきたいと考えるのかについて表現された内容

それぞれの看護の根幹となる考え方、看護の行為を動かすものとなる

学習や実践の体験を積み重ねることで深化する

とか多種多様な定義ばかり。
中には「看護技術に表現される」とかもはや定義してないやん…

でもこの論文ではそういった多様な看護観をまとめてくれました。
多くの先行研究の看護観の定義をコード化してカテゴライズしたところ、どうやら次のような大きく2つのカテゴリーに分けられたようです。

【看護に対する自己洞察】
看護を考える基盤となる考え方や自己の看護を客観視することを示すもの
【専門職業人としての行動指針】
専門職者として何を行うべきか、看護において自身が大切にしたい責任

そしてこの2つをまとめたのが看護観の定義になります!…とすると…

看護観とは「看護の対象者と対峙し自己の看護を俯瞰することを通して、看護に対する自己洞察から得られる看護専門職業人としての行動の指針となる価値観」である。

らしいです。
むむむ…急にわかりにくくなったな…
「~を通して」までは看護観の要件っていうことなので、本幹はその後の太字部分ですね。

まぁ言いたいことはわかるんですが、結局ソースが日本だけだとよくわかりませんね。
英語でも看護観を調べるため”nursing view”とか”nursing perspective”とか”sense of nursing”とかで検索してみますが、これっていうのがヒットしない。

「看護観なんて日本特有のもので、日本で自己満足のために作った造語なんじゃないの?諸外国にはこんな曖昧で抽象的な概念なんてないだろうなぁ~」なんて思いながら、さっきの論文に戻ってみて読み進める。

するとアメリカでも看護観とイコール的な概念があるようで驚愕しました。
むしろないほうが良かったなぁ…なんて笑

おそらくこの言葉が一番近いようです。

“Nursing Philosophy”

  • 一応Nursing Phylosophyっていう雑誌もあるくらい一般的な概念みたいです。

直訳すると「看護哲学」ですが、Philosophyには「哲学」という意味とは別に「理念」っていう意味もあるので「看護理念」の方が的確でしょう。

看護理念っていうとかなりわかりやすくないですか?
「あなたの看護に対する理念は何ですか?」
こういう質問ならわかりやすいかもですよね。

日本では単に言いやすいとか響きが良いとかで看護観っていう言葉を作ったんじゃないのかなぁ、価値観や道徳観、倫理観とかに倣って。

それが余計理解しにくくさせて、多くの人がアレルギー反応を引き起こすのではないかと…

 

とりあえずここでは「看護観」=「看護理念」っていうことで進めていきましょう。

日本の看護教育が大きく進んだのはアメリカのおかげという話ですし、とりあえず本場の知識を拝借しようと思います。

そんなこんなで「nursing philosophy」で検索をかけて調べてみたところ、最もわかりやすかったのが、これらのサイトでした。

https://www.usa.edu/blog/philosophy-of-nursing/
Attention Required! | Cloudflare

これらの記事のタイトルは

“What Is a Personal Philosophy of Nursing—and How Can It Help My Career?”
“What Is a Nursing Philosophy? (With How-to and Examples)”

「看護観って何?ーそしてそれは私のキャリアにどう役立つの?」

これはみなさんの疑問をすっきり答えてくれるのではないでしょうか!
そしてこれらの記事はなんと看護観の書き方も教えてくれます!

それではこれらをまとめた内容を紹介します。

米国での看護観

まずは結論から。ずばりこの一文に集約されています。

“A philosophy of nursing is a statement that outlines a nurse’s values, ethics, and beliefs, as well as their motivation for being part of the profession.”

看護観とは「看護師の価値観、倫理観、信念、そして職業に従事する動機などをまとめたもの」である。

うん、単純でわかりやすい!
日本の定義も含んでいる内容で納得です。
長ったらしいように感じますが、「などをまとめたもの」ですから、価値観だけでもいいし、倫理観だけでもいいし、従事する動機だけでもいいんです!

でも自分の看護観を持つことの何がいいんでしょうか?

看護観を持つことの5つのメリット

看護観を持つことで次の5つのことが得られる可能性があります。

  1. 患者や家族、同僚との接し方を改善できる
  2. 仕事上の困難な状況でもモチベーションを維持できる
  3. 履歴書の簡潔で魅力的な文章を書くことができる
  4. 面接の一般的な質問に対する答えを準備ができる
  5. キャリア形成の判断材料になる

一つずつ見ていきましょう。

患者や家族、同僚との接し方を改善できる

看護に関する自分の価値観(誠実さ、信頼性、尊敬など)を理解することで、これらの価値観を維持していくために、あらゆる人との交流に臨むことができるようになります。
例えば、同僚の看護師を手伝うことで信頼性を示したり、自分のミスを認めて改善に取り組むことで誠実さを示したりすることができるかもしれまないっていうことですね。

仕事上の困難な状況でもモチベーションを維持できる

看護師として、長時間のシフトや患者へのプレッシャーのかかる状況など、職場で多くの困難を経験します。看護師であることがあなたにとってなぜ重要であるかを思い返すことで、それらの課題を克服しながら看護師としてのモチベーションを維持できるかもしれません。
例えば、あなたの看護観が患者さんの命を救うことの場合、ICUでの長時間の勤務を前向きに捉えることができるかもしれません。

履歴書の簡潔で魅力的な文章を書くことができる

看護師として就活する際、履歴書にはあなたが看護師として優れている理由や、患者のケアに情熱を注げる理由を強調する文章を書きますよね。
すでに自分の看護観を考えてまとめていると、この文は非常に書きやすく簡潔で魅力的な文章になります。

面接の一般的な質問に対する答えを準備ができる

面接官は、あなたがなぜ看護の道に進んだのか、何があなたのモチベーションを維持するのか、あなたの価値観と組織との整合性について質問する可能性が高いです。
場合によっては、面接官が直接「あなたの看護観は何ですか?」と尋ねることがあるので、事前に用意しておくことに越したことはないでしょうね。

キャリア形成の判断材料になる

看護師として社会にどのように影響を与えたいのかは、看護観の重要な要素です。
この要素は看護の役割の選択、教養を深める、専門資格の取得、リーダーシップを発揮するなど、あなたの看護観に沿った活動をするための指針となります。

以上のように自分の看護観を用意しておくと、いろいろな点でメリットがありそうですね。
まぁ言うて看ゴロー自身は全く準備していなかったわけですけども…
みなさんはこうならないように。

それでは次に看護観の書き方について見ていきましょう。

看護観の書き方

次の順序で進めていきましょう。

  1. 看護に興味を持ったきっかけが何だったのかを見極めよう
  2. あなたにとってなぜ看護が大切なのかを考えよう
  3. あなたの看護師としての強みを書き出そう
  4. あなたの価値観を書き出そう
  5. 看護師として社会にどのように影響を与えたいのかを考えよう
  6. キャリアアップとともに看護観を見直そう

看護に興味を持ったきっかけが何だったのかを見極めよう

あなたが看護に興味を持ち、看護学部や看護専門学校に進んだそのきっかけは何だったのか思い返しましょう。
例えば、自分が病院で優しい看護師にケアされた、家族に看護師がいた、メディアで見た看護師の姿が格好良かった、給料が高いなど、看護の世界に入ったきっかけは様々ですよね。
なぜ他の分野ではなく看護にしたのか、ここにあなたの看護の源があります。

あなたにとってなぜ看護が大切なのかを考えよう

あなたにとって看護はなぜ大切なのでしょうか。患者をケアし、健康を教育し、医療チームでさまざまな患者の治療に貢献することで、自分に何を得られるのでしょう。何を得られるかを考えればなぜ看護が大切なのかが導き出されるはず。
患者さんと関係を築くことが好きかもしれませんし、治療中に患者さんが快適に過ごせるようにするのが好きかもしれませんし、ICUやERなど速いペースで進む医療環境の中で、人命を救うことに挑戦するのが好きかもしれません。
このような要素を看護観の文章に盛り込むことで、自分の役割に対するモチベーションや自分の役割との結びつきを促進することができます。情熱に触れるようなストーリーを加えてもいいかもしれません。この部分は「好きだから」とか「かっこいいから」とかの自己満足でもいいと思います。

あなたの看護師としての強みを書き出そう

自分にはどんなスキルがあるのかを知ることは、看護師としての能力を再認識し、看護観の文章の作成に役立ちます。看護師に必要な性格的特徴やスキルを挙げるか、優れた看護師になるためのスキルや特徴を挙げてもいいです。強みには以下のようなものが考えられるでしょう。

  • 共感力
  • 対人コミュニケーション
  • 誠実さ
  • リーダーシップ
  • 優しさ
  • タイムマネジメント
  • 組織性

そして、あなたが最も得意とすること、または看護師として最も大きな影響を与えることができると思うことをいくつか選んでください。

あなたの価値観を書き出そう

看護師として患者ケアにどのように取り組むかを形作る、あなたの個人的な価値観を挙げてください。価値観には以下のようなものがあります。

  • 誠実さ
  • 革新性
  • サービス
  • 地域社会
  • 説明責任
  • 平等性
  • 忍耐
  • チームワーク
  • 品質

そして、これらの個人的な価値観が、あなたの看護とどのように関係しているかを結びつけます。
例えば、あなたの価値観に「サービス」「チームワーク」「説明責任」が含まれている場合、あなたの看護観は次のように書くことができます。

看護師であることは、患者さんやその家族だけでなく、地域社会へのサービスでもあります。
医療チームの一員として協力し、包括的なケアを提供する必要があります。
看護師として説明責任を果たすということは、施設や医療組織の基準に自分を合わせることであり、可能な限り最善で安全なケアを提供することである。

などです。

看護師として社会にどのように影響を与えたいのかを考えよう

看護観の文章には、看護師としての目標も記載することで、モチベーションを高め、キャリアアップの指針にすることができます。
例えば、健康教育を通じて地域の人々の生活を向上させたい、慢性疾患の患者さんにとって快適な治療環境を整えたい、ICUで多くの患者を救いたいなどです。

キャリアアップとともに看護観を見直そう

看護師としてのキャリアを重ね、個人的・職業的な課題を克服していく中で、看護職に対する考え方や実現したいことが変化していくことがあります。それでも問題ありません。
あなたの看護観がよりあなたらしくなるように、定期的に見直し、新しいスキル、特性、価値観、動機、目標、患者ケアの方法などを盛り込み、適宜修正するようにしましょう。

看護観の書き方のコツ

看護観の文章を作成するためのヒントをいくつか紹介します。

簡潔にまとめましょう。1~3文程度の簡潔な文章にすることで、覚えやすく、履歴書や看護師面接で使いやすくなります。
実行可能なものにするように心がけましょう。能動態の動詞を使用するといいでしょう。
よく見える場所に置きましょう。頻繁に見ることができる場所に配置します。紙に書いて、職場のロッカーや机の上など、毎日目にする場所に貼っておくことも考えてみましょう。

他者の例を参考に自分の看護観を書いてみよう

以下の看護観の文章を参考に、自分なりの看護観を書いてみましょう。
これらは海外の看護師が記述した文章です。括弧でそれぞれ何に重きを置いているかを補足しています。

「私は看護師として、病院で出会うすべての患者さんに、病気や怪我を治療するだけでなく、その人に合ったケアを提供したいと考えています。患者さんが快適に過ごし、尊敬されるようにし、自分の看護能力に自信を持てるようにしたいです。」(看護師としての影響と看護がなぜ大切なのか)

「NICU看護師としてサービスを提供するということは、乳幼児ケアの知識と細やかな気配りや観察力を駆使して子供を治療し、健康な生活を送れるようケアすることです。」(看護師としての強み)

「看護師には、患者とその家族を教育し、地域社会で健康と福祉を促進し、すべての人々のためにより良い医療を提唱する責任があります。」(個人の価値観)

「看護とは、単に病気を治療することではなく、患者一人ひとりのニーズに合わせた質の高いケアを提供することに重点を置いています。」(個人の価値観)

「私の看護観は、看護師は安全で全人的な、患者を中心としたケアを提供する責任を負っているということです。私の患者は部屋番号や病状ではなく、個別の配慮とケアを必要とし、個人であることを忘れてはなりません。」(個人の価値観と看護師としての強み)

「自分の経験を活かし、患者の回復と健康に貢献できることを知ることで、自分に誇りを持つことができ、それがこの職業へのコミットメントを強めることにつながっているのです。」(看護がなぜ大切なのかと看護師としての影響)

最初のうちは誰かのマネでもいいと思います。
時間をかけて吟味して、自分なりに磨きあげていけばいいのですから。

私見

看護観について見てきました。
調べてみると抽象的ではありますが、どうやらそんな難しいものでもないように思えます。
一般職の人が就活の際にエントリーシートに書く志望動機や自己PRとほぼ同じものですね。

企業なども経営理念を掲げていますよね。例えば永谷園の経営理念を紹介すると、

「味ひとすじ」は永谷園の経営理念です。

「味ひとすじ」とは、
1. 今までにない
2. お客さまに「なるほどおいしい」と感じてもらえる
3. 他者にマネが出来ない

そういう商品を出し続けるという「決意」なのです。
https://www.nagatanien.co.jp/company/philosophy.html

という単純明快で面白い理念を掲げています。
アドレスを見ると”philosophy”という言葉を使っていますね。企業からすると理念を掲げることは一般的ですよね。

就活でも「企業理念に共感しました」なんていう言葉もよく聞きますよね。
なので看護観を決めるのに悩んでいる人は、どっかの病院の看護部の理念・基本方針などを参照して、それをマネするのでも十分でしょう。

「看護観なんてないし、お金稼げれば十分だし」

なんて思いもあるとは思いますが、そこは突っぱねらずに少し振り返ってみても良いかもしれません。
患者さんに「ありがとねぇ」と感謝されたときに嬉しくない人なんていないでしょう。

「病気で苦しんでいる多くの人の助けになりたい」

そんな単純なもので十分です。大それたものでなくてもいいです。
ちなみにこれは看ゴローの看護観です笑

まとめ

看護観について見てきました。

看護観とは看護師の価値観、倫理観、信念、そして職業に従事する動機などをまとめたものです(米国の定義)。

看護観が定まっていると、就活で履歴書を書く際や面接での対応で困らないでしょう。
つらいときもモチベーションを維持できる可能性もあります。

書くときは1~3文程度で簡潔に実行可能なものにしましょう。

みなさんも永谷園のようにシンプルで簡潔で覚えやすく、具体的で実行可能性がありそうな看護観に仕上げられると良いですよね。

知識研究
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ICU nurse♂Ph.D student🧐臨床で働きながら研究するのがモットー👊✨一児の父であり子育て奮闘中の30代😱💦臨床現場の医療者に役立つ知識や論文(看護寄り)を解説します❗
ブログ内登場人物:ゴロー(自分) ふがこ(妻) ぼうろ(息子)

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