心不全患者のセルフケア行動はどうすれば良くなるのか?

研究

こんにちはー!ゴローです!
年の瀬も近づいて参りましたね~。気温も低くなり、血圧の上がり下がりが激しいせいか、脳卒中や心疾患で運ばれる患者が増えてきたように思えます泣
コロナウイルス肺炎の患者も増加していますし、年越しにかけて医療崩壊が起こらないことを祈ります。

研究紹介

本日のテーマですが、そんな心疾患の1つである慢性心不全患者への介入研究をご紹介します。

Hsu MY, Chiang CW, Chiou AF. The effects of a self-regulation programme on self-care behaviour in patients with heart failure: A randomized controlled trial [published online ahead of print, 2020 Sep 19]. Int J Nurs Stud. 2020;103778.

日本語訳すると「心不全患者におけるセルフケア行動に及ぼす自己調節プログラムの効果:無作為比較試験」です。
つまり「心不全患者に対して自己調節プログラムという介入をおこなうことで、セルフケア行動に変化が起こるのか」を試験した研究です。

背景

心不全とは

ご存知の人も多いかと思いますが、「心不全」は心臓弁がきちんと動かない弁膜症の患者や、心臓の栄養血管が詰まって起こる心筋梗塞後の患者など、心臓の機能が低下してしまう病気です。
2017年時点で世界で約3770万人、日本では100人に1人の割合で心不全を患っています。今後高齢化が進む日本ではその割合は増えていくことが予想されます。

心不全で生活の質が低下する

心不全の経過
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_991.html

上図のように、心不全は時間の経過とともに悪化・回復・寛解を繰り返しながら徐々に悪くなっていきます。
心不全患者は一度心不全になると生涯に渡って、だんだんと増悪していく呼吸困難感や易疲労感などの心不全症状に苦しみながら過ごすため、Quality of life「生活の質」の低下をもたらす可能性があるのです。

心不全にはセルフケアが重要

病状が寛解し退院したとしても、心不全の症状は現れます。
また再入院をしないためにも身体の調子を維持し、また症状が発生したときは対処をして悪化しないように管理していかねばなりません。それが「セルフケア行動」です。
心不全患者のセルフケア行動は、内服薬をきちんと飲むこと、食事で水分や塩分、アルコールの摂取を制限すること、適度な運動をすること、毎日体重を測定することなど多くの行動が求められます。
先行研究によると、50~80%の心不全患者がセルフケア行動をおこなっていないことが明らかになっています。そしてQOLを高めるには、より良いセルフケア行動が必要であると言われています。
しかし今までの研究で、1回の患者教育ではセルフケア行動が改善しないこともわかっています。

研究の目的

そこでこの研究は、自己調節という行動に焦点を当てて、集中的介入を追加しておこなう「自己調節プログラム」を心不全患者に対して効果があるかを検討したものです。

  • P:心不全患者
  • I:自己調節プログラム介入群
  • C:非介入群
  • O:セルフケア行動

方法

研究デザイン

無作為化比較試験で、自己調節プログラムの介入群と非介入群で分けられました。
介入群では4週間のプログラムを受け、介入群では通常の診療を受けました。
セルフケア行動は、研究参加した時、4週間後、8週間後で評価しました。

参加者

台湾北部の教育病院の循環器外来で心不全患者を82人を募集し、肺疾患もしくは腎不全の患者は除外されました。これは心不全症状の観察に影響しそうなためです。

図1 フローチャート

図1のように、86人が登録され最終的に介入群41人、非介入群41人の82人が研究に参加しました。

自己調節プログラム

自己調節プログラムは循環器看護の臨床経験を持つベテラン看護師が担当し、対面式の個別教育と電話カウンセリングを実施しました。
対面式の個人教育は20~30分、電話カウンセリングは15~20分を週2回の計8回実施しました。

自己調節プログラムとは、自己調節理論というものに基づいて開発されたもので、自己調節に関する教育と自己調節の実施の2段階に分かれています(表1)。

表1 4週間の自己調節プログラム

プログラムの内容は以下の通りです。

  1. 心不全の概要やセルフケア行動と自己調節プロセスの教育セッション、自己調節ハンドブック
  2. セルフケア行動、症状管理、自己調節実践を観察するための8回の電話フォローアップ

セルフケア行動の評価方法

Self-Care of Heart Failure Index (SCHFI) で評価されました。
SCHFIは、セルフケアが維持できているか(症状の観察とセルフケア行動の遵守)、セルフケアが管理できているか(症状の認識と管理)、セルフケアに自信があるか、を評価することができます。
点数が高いほど、セルフケアが良好であることが示されています。

結果

患者背景

表2 2群間の患者の特徴

表2を見てみると、無作為化比較試験だったためか患者背景には2群間で特に有意差はありませんでした。

セルフケア行動についてもベースライン時点では差はありませんでした。

プログラム介入後のセルフケア行動の評価

表3 セルフケア行動に関する自己調節プログラムの効果の経時的群間差

図2 8週間のフォローアップ期間における2群間のセルフケア行動スコアの比較

表3は各群におけるベースライン(T1)から8週間(T3)までのセルフケア行動の変化を示したものです。
セルフケア維持では4週間後、セルフケア管理では4・8週間後、セルフケア自信では4・8週間後で介入群は有意に大きな改善を示しました。
図2を見ても介入群においてスコアの上昇は非介入群と比較して大きいです。

結論

この研究では、自己調節プログラムが台湾の心不全患者のセルフケア行動を改善に効果的であったことがわかりました。

私見

自分は急性期でしか臨床経験がないので、外来や在宅ケアに関しては詳しくはありませんが、やっぱり心不全は悪化して再入院にならないようにすることが非常に重要だと思います。
そのためには、この研究のように患者の個別教育を充実させて、退院支援や外来フォローアップの質を上げていくべきなのでしょうけど、今の日本の医療制度だとなかなか難しそうですよね。
ここまでしっかりとしたプログラムを導入することが、マンパワー的にも時間的にも不足してそうです。
特にフォローアップするための電話カウンセリングとか、誰がやるべきなの?医者なの?看護師なの?とかいう問題が出てきそうです。
今後オンライン診療もしくはオンライン看護などが発展してきてくれば、このような介入も積極的におこなっていくことができそうですよね。
それまでは外来か訪問看護がイニシアチブを取ってやっていくといいかもしれません。

以上、参考になれば嬉しいです!
介入方法、特にカウンセリングとかどうやったの、とか気になる方はコメントいただければお答えします。

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