論文紹介
日本での治療成績はわかりませんが、オーストラリアではガイドラインを活用できていないため治癒が長期化してしまっているようです。
自分は経験がほとんどないですが、外来ケアは患者にどれだけ治療内容を遵守してもらうかが鍵となるのでしょうか。
つまり患者と医療従事者でこの病気と治療に対する見解が違うから十分にガイドラインを活用できていないのでは、と仮定してこの研究をおこなったのでしょう。
研究の目的
患者と臨床医のそれぞれの視点から、下肢静脈性潰瘍の管理方法について検討すること
方法
患者31名、総合診療医15名、看護師20名を対象に対面もしくは電話インタビュー(患者は電話のみ)
結果
診断に関して
医療従事者:ガイドラインに従うよりもいつ専門医に紹介すべきだろうか。
患者:専門クリニックへの早期の紹介が必要だ!ちゃんと血管の評価と圧迫療法をしてくれ!
治療に関して
医療従事者:圧迫療法はせずに外用薬ドレッシング剤だけでいいよ。疼痛管理?話してないなぁ。
患者:創傷管理は痛いんだから痛みの制御をもっとしてくれ!
知識に関して
医療従事者:患者は潰瘍の管理方法と圧迫療法の役割について理解が足りない。
患者:ケア方法や再発予防の方法についてもっと情報が欲しいし、医療従事者たちが提供している情報じゃ足りないよ!
医療従事者:情報に圧倒されないように少ない情報を提供しているんだよ。
つまりは患者の需要と医療従事者の供給には大きな差異があるってことです。
しかも患者の需要は、下肢静脈性潰瘍臨床実践ガイドラインの推奨事項と一致しているという点は非常に重要だと思います。
自分の専門領域外ですが、重なるところもありますね。急性期では患者そしてその家族の不安は強くなりますし、より多い情報を求めるっていうところですよね。
やっぱり情報提供っていうのは重要だと思いますよ。
十分すぎるくらいの情報を与えないと患者側は不安で不安でしょうがないでしょうし。
つっこみどころがあるとすれば「痛みをどうにかしてくれ!情報が足りない!」って内心思っていても言えない患者ー医療者との信頼関係とはいったい…?ってとこですよね、プライマリーケアが聞いて呆れる気がします。まずは「信頼関係の構築」。これが最優先課題なのかもしれませんね。
そして質的研究はやっぱり読み慣れていないので難しいですね。しかもすごく長いから挫折しました。日本語じゃないからニュアンスが合っているのかいまいちわかりませんし…
でもこの研究はとても重要な知見だと思いますし、いつか自分も今回のような患者と医療従事者での見方が違うっていうテーマでなにか調査してみたいと思いました。
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