【看護師必見】なぜ呼吸数は最も軽視されるバイタルサインなのか?

研究

前回の記事では、呼吸数がいかに重要なバイタルサインであるかを論文をベースに解説しました!
詳しくはこちらを参照してください!

【看護師必見】呼吸数がなんで重要なの?【急変の前に予兆を発見しろ!】
看護師の呼吸数評価の軽視についてのレビュー論文を紹介します。呼吸数評価の重要性と看護師がどのように呼吸数を軽視しているのかがわかります。

しかしそもそもなぜ呼吸数は最も軽視されてしまうのでしょうか。

今回はその疑問について、またまた論文をもとに紐解いていきます!

論文紹介

今回紹介する論文はこちら!

Elliott M (2016) Why is Respiratory Rate the Neglected Vital Sign? A Narrative Review. Int Arch Nurs Health Care 2:050.

「なぜ呼吸数が最も軽視されるバイタルサインなのか?ナラティブ・レビュー」

ナラティブ・レビューとはあるテーマについて公表されている全ての研究をもとに、そのテーマについて知識や現状、課題を要約して説明する論文です。

まず背景ですが、これは前回の記事で呼吸数が重要であることを述べたので割愛します。

この研究の目的は、呼吸数の軽視について検討した研究を評価し「なぜ呼吸数が最も軽視されている臨床のバイタルサインなのか」という疑問に答えることでした。

方法

CINAHLやMEDLINE、PubMed、Google Scholarといった研究データベースを用いて論文を検索しました。

検索用語は次の通り。

  • respiratory rate
  • measurement or assessment
  • charting or documenting or recording
  • neglect or omission

結果

レビューした論文の要約

レビューの対象となったのは3つの論文だけ。

研究 対象者 方法 重要な知見
Ansell et al. ニュージーランドの看護師10人 電話インタビュー

半構造化

患者が安定しているように見える場合や長期入院している場合に見逃される

機械で測定できず時間がかかる

測定しようとすると中断される

経験のある看護師は視覚的な評価できると考えている

測定しないことについて疑問に思わない文化がある

Philip et al. イギリスの看護師13人、ジュニアドクター20人、学生看護師3人、介護士5人 アンケート ほとんどの回答者は呼吸数が重症度の良い指標と考えている

時間がない、怠慢、トレーニングや知識不足

正常な呼吸数が記録されているにも関わらず、異常な呼吸数を報告した

ほとんどの回答者は呼吸数を評価しても少なくとも30秒間はカウントされていないと感じている

多くのスタッフは呼吸数は推定もしくは推測だと考えている

Hogan イギリスの病院の看護師、介護士、看護学生 フォーカス・グループ 患者の評価は仕事中心の文化の中で日常的におこなわれている儀式的なものだと考えられていた

バイタルサインに関する基本的な教育は一貫しておらず、他人を観察して学ぶこともあった

個々の看護師の臨床判断によりバイタルサイン評価の頻度が決められていた

誰が病棟の患者のバイタスサインを測定すべきか、明確なガイダンスがなかった

論文をもとに看ゴローが翻訳

 

まとめると呼吸数が軽視される理由は大きく以下の3つ!

  • 患者の重症度
  • 不十分な知識・技能
  • 時間不足

患者の重症度

患者の状態が安定していると判断された場合には呼吸数を測定する可能性は低くなった。

患者が「快適そう」に見える場合は呼吸数の評価は忘れられがちだった。

患者が興奮していて呼吸数を正確に評価できない場合は推定してしまった。

不十分な知識・技能

学部の勉強では呼吸数評価の技術が明確に示されなかった。

「根拠を教えてもらった記憶はなく、ただ観察の一貫としてやっていただけだった」と看護師が述べていた。

呼吸数評価と酸素療法を同時に教えられたと述べている人もいた。
その結果、酸素療法を受けている患者だけ呼吸数評価を受ける必要があるという結論に達していた。

トレーニングや知識不足であるというアンケート結果であった。

5人に1人が呼吸数が重要であるとは考えていない。

呼吸数の測定は特定の患者のみ重要であるという認識をもつ看護師もいた。

時間不足

仕事量が多いために時間がなく、重要なタスクをこなすことに不安を感じて、呼吸数の評価を怠る看護師がいた。

時間的制約や時間不足から30秒以上呼吸数を評価できなかった。

他のバイタルサインの測定よりも時間がかかるため、より重要と思われる作業を優先してしまうことが多い。

自動の機械がないから。

その他の要因

ただの怠慢だった。

秒針付きのと時計を持っていなかった。

呼吸数評価中に中断させられた。

結論

呼吸数は急性疾患の重要な指標だが、それにもかかわらず臨床現場では呼吸数の測定が軽視されがちであることが多くの研究で指摘されています。その理由を探った研究は3件しかありませんでした。
これらの理由はおもにバイタルサインとしての呼吸数の重要性に関する理解の欠如に関連しています。
学部や大学院でこの問題に取り組むことが、この問題の解決につながるかもしれません。

私見

バイタルサイン測定の儀式化は非常に怖いですね…
看護師の存在意義が危ぶまれる気がします。

患者が快適そうだとか安定しているように見える場合に呼吸数測定をしないのは、そんなに変なことではないかと思っています。
血糖値に問題がない患者に血糖測定をする必要はありませんもんね。

問題なのは、呼吸数評価の必要があるのに評価しないことですよね。
やはりそもそも呼吸数評価の必要性がわかっていないからですね。
実際に20%が呼吸数評価が重要だとわかっていないのですから。

やはり学部教育で呼吸数評価重要である根拠や評価の技術が教えられないことが大きな要因?
教えられていれば業務野中でも優先順位が高くなるとは思うのですが…

ということは看護の教員が呼吸数評価の重要性について教えていないから。
もしくは看護の教員がそれについて理解できていないから教えられないのでしょう。
まぁ僕も学部の頃に呼吸数については教えられませんでしたしね…

あとは時間やマンパワーの欠如も重要な要素ですね。
仕事回らないから優先度の低い業務を省いたり…とかはあると思います。
その点でパルスオキシメトリーはやはり有用なのかもしれません。
一瞬で脈拍とSpO2測れますもんね。実際に1分間患者さんと相対して何もしゃべらず呼吸数測定する時間って結構長く感じるかも…
呼吸数も一瞬で図れる機器が普及すれば、院内急変の発生率も変わってくるかもしれないですね。

とはいえ自分は看護師なので、人材の補充や機器の開発はできません。
できることとすれば、やはり呼吸数評価の重要性を働いている看護師と後世の看護師に伝えていくことなのかなぁと思っています。
一瞬で呼吸数を評価できる機器が開発されたとしても、それをツールとして使用するのは看護師ですから、呼吸数が重要であることを理解していないと測定しても意味がないですもんね。

それにしても呼吸数がなぜ軽視されるのかを検討した研究がたったの3件しかないというのは驚きですね。
それもサンプル数も少ないので、これは深堀りできるかもしれません。
自分の研究課題にしてみようかなと思う看ゴローでした!

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